「プログラミングを始めたけど、何をしたらよいかわからない」「作りたいものがあるけど難しそう」と感じていませんか? まずは、コードを書いて動かしてみたいという方も多いですね。この記事では、初心者におすすめのプログラムやレベル別に取り組みたい制作課題、学習を進めるポイントについて解説します。
簡単な自己紹介サイトや数当てゲームから、本格的なToDoリストまで、具体的な制作物を知ることで、学習のモチベーションが格段にアップします。開発者としてのスキルを身につけるためのヒントも紹介しますので、今日からあなたのアイデアを形にする第一歩を踏み出しましょう!
プログラミング初心者でも作れるものはたくさんあります。大切なのは、最初から複雑なものを作ろうとせず、簡単なものから始めて成功体験を積むことです。
プログラミング初心者でも簡単に作れるもの
プログラミング初心者でも取り組みやすく、達成感を得やすい制作物を紹介します。
自己紹介サイト
自己紹介サイトの作成は、Web開発の基本を学ぶのに最適です。HTML(構造)、CSS(見た目)、そして少しのJavaScript(動き)という、Webを構成する核となる技術に触れられます。ウェブサイトの制作は、成果が視覚的にわかりやすく、学習のモチベーションを保ちやすい点からも初心者におすすめです。
成果物 | 自己紹介サイト |
使用する技術 | HTML、CSS |
作成の難易度 | 低 |
時間の目安 | 5〜10時間程度 |
また、開発環境の構築も、無料で利用できるサービスが多く、手順も比較的簡単なため、サイトの完成という目標達成が容易です。コンテンツは自分自身の情報なので、デザインやレイアウトに集中できます。
技術としては、主にHTMLとCSSを使用します。画像のスライドショーやナビゲーションバーの動きなど、少し凝った機能を追加したい場合にJavaScriptを部分的に使用します。フレームワークやライブラリは使用せず、まずは素の技術を学ぶのがおすすめです。
難易度は低いです。デザインにこだわらなければ、数日あれば基本的なサイトを完成させられます。レイアウトやコンテンツにもよりますが、基本的なページ構成であれば5時間〜10時間程度で一通りの形にできます。
ToDoリスト管理ツール
ToDoリストは、プログラミングにおけるデータの操作(作成、読み出し、更新、削除=CRUD処理)の基本を学ぶのに適しています。ユーザーが入力した情報を保持し、それに対してアクションを起こすという、実用的なアプリケーション作りの基礎を学べます。
成果物 | ToDoリスト管理ツール |
使用する技術 | JavaScript |
作成の難易度 | 中 |
時間の目安 | 10〜20時間程度 |
機能が「タスクの追加」「タスクの完了(削除)」「タスクの一覧表示」とシンプルに定まっており、目標がブレにくい点で初心者におすすめです。ユーザーインターフェースも簡素で済みますし、コマンドラインツール(黒い画面で操作するタイプ)上で動作するようにすれば、よりコードのロジックに集中できます。
Webアプリケーションとして作るなら、HTML、CSS、そしてタスクの状態を管理するためにJavaScriptが必須です。JavaScriptを使って、タスクをブラウザのストレージ(LocalStorage)に保存・読み出しする方法を学ぶと、応用の幅が広がります。Pythonなど、他の言語でコマンドラインツールとして作るのも良い選択です。
ツール作成の難易度は中です。リストの表示までは簡単ですが、データの保存・更新といった処理が入るため、論理的な思考力が少し必要になります。基本的な処理を実装するのに、10時間〜20時間程度を見積もっておくと良いでしょう。
数当てゲーム
数当てゲームは、プログラミングの「流れ」と「条件分岐」を理解するのに最適なプログラムです。コンピューターがランダムな数を生成し、それに対してユーザーが推測し、正解・不正解を判定するという一連の処理を構築します。
成果物 | 数当てゲーム |
使用する技術 | PythonやJavaScript |
作成の難易度 | 低〜中 |
時間の目安 | 3〜8時間程度 |
「乱数の生成」「ユーザーからの入力受付」「入力値の比較」「ヒントの提示」といった、プログラムを構成する基本的な要素が一通り含まれています。また、ゲームという性質上、作っていて楽しく、何度でもテストプレイしやすいのも学習で取り組む際の大きな利点といえます。
PythonやJavaScriptなど、学習を始めたばかりの言語を選ぶのが良いでしょう。これらの言語は、標準機能で乱数生成やユーザーからの入力処理が容易に行えます。特にPythonは文法がシンプルで、コードの記述量が少なくて済むため、初心者におすすめです。
難易度は低〜中です。基本的な機能(正解判定)だけなら簡単ですが、「何回まで挑戦できる」や「入力エラー時の処理」などを加えると少し複雑になります。コマンドライン上での動作に限定すれば、3時間〜8時間程度で、基本的なゲームロジックを完成させられます。
スクレイピングプログラム
スクレイピング及びクローリングをおこなうプログラムは、Web上の情報を自動で収集・抽出するプログラムで、外部データとの連携やライブラリの使い方を学ぶのに適しています。たとえば、特定のサイトから株価や天気予報の情報を自動で取得するなどが可能です。
成果物 | スクレイピングプログラム |
使用する技術 | Python |
作成の難易度 | 中 |
時間の目安 | 5〜15時間程度 |
データ収集という実用的な目的があり、特定の繰り返し作業を自動化できるため、すぐにその便利さを実感できる点が初心者におすすめです。また、ウェブサイトのHTML構造を解析する必要があるため、前述の自己紹介サイト作成で学んだHTMLの知識が活かせます。
言語はデータ処理に強いPythonが最もよく使われます。具体的には、HTTPリクエストを送るためのrequests
ライブラリと、HTMLを解析するためのBeautiful Soup
ライブラリの組み合わせがよく用いられます。
難易度は中です。Webサイトの構造(HTMLのタグやクラス名)を理解し、目的のデータがどこにあるかを特定する作業に慣れが必要です。また、取得対象となるサイト側の規約を遵守する必要があります。
単一のWebページから特定の情報を取得するプログラムであれば、5時間〜15時間程度で作成可能です。複数のページを巡回したり、ログインが必要なサイトを扱う場合は、さらに時間がかかります。
学習レベル別におすすめのプログラミング制作課題
プログラミング学習の段階を「はじめて」「初級」「中級」の3つのレベルに分けて、それぞれにおすすめの制作課題を紹介します。
はじめて(入門)レベル
このレベルでは、プログラミング言語の基本的な文法(変数、if文、for文、関数など)を学びながら、プログラムが動く楽しさを実感することが目標です。
- Progateやドットインストールなどの学習サイトで、1つの言語の基礎コースを終えた程度。
- 本やチュートリアルを見ながらでないと、コードが書けない。
簡単なコマンドラインツール
黒い画面(ターミナルやコマンドプロンプト)上で動く、文字だけのシンプルなプログラムを作成します。見た目を作る必要がないため、ロジックをコードで記述することに集中して取り組みましょう。
- 数当てゲーム:コンピュータが決めた数字を当てるゲーム。
- じゃんけんゲーム:プレイヤーとコンピュータでじゃんけんをします。
- 簡単な電卓:2つの数字を足したり引いたりする計算機。
- 今日の運勢占い:実行するとランダムで「大吉」「中吉」「凶」などを表示します。
これらの課題に取り組むことで、変数、条件分岐(if文)、繰り返し(for文)、乱数の使い方、ユーザーからの入力受付など、プログラミングの基本要素を学ぶことができます。
静的なWebサイト
プログラミング的な動きはない、見た目だけのWebページです。まずは身近なウェブサイトのデザインを真似てみる「写経」がおすすめです。
- 趣味のページ
- カフェやお店の紹介ページ
- ポートフォリオサイトの骨組み
これらの課題に取り組むことで、HTMLでマークアップすることでサイトの構造を作り、CSSでレイアウトや装飾を整えるという、Web制作の基本的な考え方を学ぶことができます。
初級レベル
基本的な文法を理解し、ライブラリやフレームワークを使い始める段階です。必要な情報について調べながら、自力で簡単なアプリケーションを完成させることが目標になります。
- 基本的な文法は理解しており、簡単なコードは書ける。
- ライブラリやAPIという言葉の意味がわかる。
- エラーが出たときに、検索して自力で解決しようと試みることができる。
APIを利用したWebアプリケーション
Webサービス企業などが提供しているAPIを使い、情報を取得して表示するアプリケーションの開発に取り組みます。リクエストに応じて結果が動的に表示されるアプリを作れるようになります。
- 天気予報アプリ:天気予報APIから情報を取得し、指定した地域の天気を表示します。
- レシピ検索アプリ:料理レシピAPIを使い、食材名からレシピを検索・表示します。
- 書籍検索アプリ:書籍APIで本の情報を検索し、表紙やあらすじを表示します。
API連携の基礎、JSON形式のデータの扱い方、JavaScriptでの非同期処理について学ぶことができます。
データベースと連携するWebアプリケーション
ユーザーが入力した情報を保存し、後から読んだり、更新・削除したりできるアプリケーションの開発に取り組みます。Web開発の基本となるデータベースと連携したプログラムでの処理を学習しましょう。
- ToDoリスト:タスクの追加、一覧表示、完了(更新)、削除ができます。
- シンプルなブログ:記事の投稿、一覧表示、詳細表示、削除ができます。
- 支出管理アプリ:日々の支出を記録・表示できます。
PythonのDjango/Flask、RubyのRailsなどWebフレームワークの使い方、データベースの基本的な設計と操作を習得することができます。
簡単な2Dゲーム
ゲーム用のライブラリを使って、キャラクターを動かしたり、当たり判定を処理したりする簡易な2Dゲームを作成します。ライブラリが図形の描画やキーボード操作の処理などを肩代わりしてくれるため、ゲームのロジック作りに集中できます。
- ブロック崩し
- シンプルな横スクロールアクション
- インベーダーゲーム
Pygame (Python) や p5.js (JavaScript) などのライブラリの使い方、オブジェクト指向の考え方、ゲームループの仕組みに触れられます。オブジェクト指向の考え方を学ぶ良いきっかけにもなります。
中級レベル
複数の技術を組み合わせ、より複雑で実践的なアプリケーションを設計・開発する段階です。オリジナリティのあるものや、実用性の高いサービスの開発に挑戦します。
- 調べながら、自力でWebアプリケーションを開発できる。
- 認証(ログイン機能)やデータベース設計に関する知識がある。
- Gitを使ったバージョン管理に慣れている。
実践的なアプリの開発に取り組むことで、より複雑な処理に対応するコードを書けるようになります。
認証機能付きWebサービス
ユーザー登録・ログイン機能があり、ユーザーごとに異なる情報を扱うWebサービスの制作をおこないます。
- SNSのクローン:XやInstagramのように、ユーザーが投稿し、フォローや「いいね」ができるサービス。
- ECサイト:商品の登録・一覧表示、カート機能、簡単な決済機能(Stripe連携など)を持つサイト。
- Web掲示板:スレッドを作成し、コメントを投稿できる掲示板。
開発を通して認証・認可の仕組み、複雑なデータベース設計(リレーション)、セキュリティの基礎、外部サービス(決済APIなど)との連携を学ぶことができます。
オリジナルのWeb API開発
これまではAPIを使う側でしたが、今度はデータを提供するAPIを自分で作ります。フロントエンドとバックエンドを分離した開発の基礎となります。
- ブログのバックエンドAPI(記事データの送受信)
- 自分で集めたデータを返すAPI(例:ラーメン屋情報API)
RESTful APIの設計思想、APIのドキュメント作成、バックエンド開発の知識を身につけることができます。
モバイルアプリ
Swift (iOS) や Kotlin (Android)、または Flutter / React Native を使って、スマートフォンで動くアプリを開発します。
- 自作Webサービスと連携するクライアントアプリ
- 位置情報を利用したマップアプリ
- カメラや写真を使った画像加工アプリ
モバイルアプリ特有の開発手法、UI/UX設計、各プラットフォームの作法を勉強できます。
プログラミング課題に取り組む際のアドバイス
成果物の作成を通してプログラミング学習を進める際のアドバイスを紹介します。
- 完璧を目指さない
- 少しずつ機能を追加する
- 公開を意識する
それぞれについて、以下でみていきましょう。
完璧を目指さない
プログラミング学習においては、「完璧主義を捨てる」ことが、挫折を防ぎ、学習を継続する鍵となります。初心者がまず目指すべきは、「完全なアプリケーション」ではなく、「とにかく動くもの」を作ることです。コードの書き方が最適でなくても、エラー処理が万全でなくても、まずは目標とする機能が一つでも動作したという事実が、大きな達成感と次の学習へのモチベーションにつながります。
完璧を求めすぎると、一つの問題に必要以上に時間を費やしたり、まだ習得していない高度な技術に手を出してしまい、結局何一つ完成させられずに終わってしまうリスクが高まります。
初めて何かを作る際は、バグだらけでも、デザインが崩れていても構いません。その「不完全な動作品」を土台にして、後から知識や経験が増えるたびに改善していけば良いのです。
学習段階では、スピード感を持って完成させる経験を積むことを最優先にしましょう。まずは「動いた」という成功体験を積み重ねることが、長期的なスキルアップの土台となります。
少しずつ機能を追加する
大きなプロジェクトを最初から全て実装しようとすると、その複雑さから途方に暮れてしまうことがよくあります。これを避けるためには、「機能を最小単位に分解し、一つずつ追加していく」という開発手法、つまりアジャイル的なアプローチを取ることが有効です。
例えば、ToDoリストを作る場合、「タスクの追加」→「タスクの一覧表示」→「タスクの削除」→「タスクの編集」→「データの保存」といった具合に、ステップを細かく区切ります。
この方法の利点は、常に動作するバージョンを保てることです。新しい機能を追加するたびに動作確認を行うため、もしバグが発生しても、それが「直前に追加した機能」に起因していることが明確になり、問題の特定と解決が容易になります。
また、一つ機能が完成するたびに短い周期で達成感を得られるため、モチベーションの維持に繋がります。いきなり全ての複雑な機能を実装しようとするのではなく、簡単な機能から段階的にプログラムを「成長」させていくイメージで取り組みましょう。
公開を意識する
作成したプログラムを「誰かに見せる」ことを前提として学習を進めると、学習の質とモチベーションが飛躍的に向上します。自己満足で終わらせず、Webサイトをデプロイ(公開)したり、GitHubなどのリポジトリにコードをアップロードしたりする行為は、プログラミングスキルを実社会で通用させるプロセスだからです。
公開を意識すると、「コードが汚いままでは恥ずかしい」「セキュリティは大丈夫だろうか」「他の人にも使いやすいか」といった視点が自然と生まれます。これにより、コードの品質向上やエラー処理の丁寧さ、そしてユーザーインターフェースに対する意識が高まります。
また、公開したサイトをポートフォリオとして活用できれば、将来の就職活動などにも役立ちます。たとえ簡単なプログラムであっても、実際にインターネット上に公開し、そのURLを友人に共有してみましょう。この「完成させて世に出す」という行為が、責任感と達成感を生み、さらなる学習意欲を引き出してくれます。